住宅ローンの頭金とは?メリット・デメリットや注意点について紹介

住宅ローンを組む場合、頭金を入れることを求められることがあります。しかし、住宅の頭金がどういうものかよくわからない方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、住宅ローンの頭金の特徴やメリット・デメリット、注意点などについて紹介します。

住宅ローンの頭金とは

住宅ローンの頭金とは、住宅ローン利用時に準備する自己資金のことで、ほとんどの金融機関で頭金の入金を求められます。

かつては一定の資金がなければ物件を購入することができませんでした。現在では一定資金なしで物件が購入できないといったことはありません。

しかし、頭金を用意することで、借入額を減らしたり、月々の返済額を減らしたりできることもあり、住宅ローン利用時には頭金を用意するものと強く意識づけられているといえます。

住宅ローンに頭金を入れるメリット

住宅ローンに頭金を入れるメリットは下記のとおりです。

  • 住宅ローンの審査が通りやすくなる
  • 金利や保証料が安くなる
  • 月々の返済金額と利息総額が安くなる
  • 欲しい物件を買うタイミングが合いやすい
  • 売却時に転売価格以上の残債が残る可能性が高い

住宅ローンの審査が通りやすくなる

住宅ローンに頭金を入れることで、住宅ローンの審査が通りやすくなるのがメリットです。

頭金を入れることで借入金額が低くなることに加え、審査時の信頼を獲得しやすくなるためです。

住宅ローンの審査では、年収に対する借入金額の上限が決まっているため、頭金が多いほど借入金額は低くなり、審査に通りやすくなります。

そのため、年収が低くても頭金があることで、希望金額に近い住宅ローンを組める可能性が高くなります。

金利や保証料が安くなる

住宅ローンに頭金を入れることで、金利や保証料が安くなるメリットがあります。

理由は同じで借入金額が低くなるためです。

住宅ローンの金利は、頭金の金額によって低くなることがあります。例えばフラット35では、物件価格の10%以上の頭金を用意することで、低い金利が適用されます。

また、融資先の金融機関が設定する保証金は、借入金額の大きさに比例するので、頭金の分だけ保証料が下がることになります。

月々の返済金額と利息総額が安くなる

住宅ローンに頭金を入れることで、月々の返済金額や支払う利息の総額が安くなるメリットがあります。

こちらも借入金額(=返済金額)が低くなることが理由です。

同じ返済期間であれば、借入金額が低い方が返済月額は少なくなります。また、金利が一定の場合、借入金額が低い方が支払う利息も当然安くなります。

欲しい物件を買うタイミングが合いやすい

住宅ローンに頭金を入れることで、欲しい物件を買うタイミングが合いやすくなるというメリットがあります。

住宅ローンの融資金額は名義人の年収によって変動します。欲しい物件があった場合でも、年収や物件に対する評価次第では、物件価格に満たない融資しか受けられない可能性もあります。

頭金を用意することで、借入金額を下げることができるので欲しい物件をタイミングよく購入できる可能性が高くなります。

売却時に転売価格以上の残債が残る可能性が低くなる高い

物件売却時に、転売価格以上の残債が残る可能性が低くなるのも、頭金を入れるメリットです。

返済期間が同じ場合、借入金額が低い方が売却時の残債も少なくなるためです。残債よりも高い金額で物件が売却できた場合、次に購入する物件の頭金などに充てることもできます。

一方、頭金を入れていない場合、同じタイミングで売却しても残債が高くなり、場合によっては売却価格以上の残債が残るケースもあります。

この場合、残債を支払うための現金を別途用意する必要があります。

住宅ローンに頭金を入れるデメリット

住宅ローンの頭金には下記のデメリットがあります。

  • 手持ち金が減り、他にお金を回すことができなくなる
  • 住宅ローンの控除が限定的になる可能性がある

手持ち金が減り、他にお金を回すことができなくなる

住宅ローンの頭金を入れることで、手持ちの現金が減ってしまうデメリットがあります。

住宅ローンの頭金は貯蓄したお金で払うことになります。また、マイホームを購入するタイミングでは結婚して子供がいるケースも多く、教育費や生活費も必要になるでしょう。

頭金を用意することで他の用途のお金が工面できず、必要な費用を払えなくなることがないよう注意しなければなりません。

住宅ローンの控除が限定的になる可能性がある

住宅ローンの頭金を入れることで、住宅ローン控除額が限定的になる可能性があります。

住宅ローン控除とは所定の要件を満たす住宅の購入と住宅ローンを利用した場合、年末時点の住宅ローン残高の1%を所得税から控除できる制度です。

住宅ローン控除の上限額は年間40万円までですが、頭金を多く入れて借入金額を下げることで、控除額の上限まで利用できなくなる可能性があるので注意してください。

住宅ローンに頭金を入れる場合の注意点

住宅ローンに頭金を入れる場合には下記の注意点があります。

  • 追加費用を用意しておく
  • 住宅以外の急な出費にも対応する

追加費用を用意しておく

住宅ローンに頭金入れる場合は、追加費用の準備も行っておくようにしましょう。

住宅を購入する場合、物件の購入費用だけではなく、付随する諸費用の支払が必要になるためです。

具体的には下記の費用が発生します。

  • 不動産会社への仲介手数料
  • 金融機関への住宅ローン手数料
  • 登記費用
  • 手付金
  • 各種保険料 など

住宅ローンはあくまでも不動産物件を購入するための費用ですので、諸費用を住宅ローンに含めることはできません。

また、諸経費は現金で一括払いを求められるため、手持ち資金がゼロの場合は住宅を購入できない可能性もあり、注意が必要です。

住宅以外の急な出費にも対応する

住宅ローンに頭金を入れる場合は、住宅費以外の急な出費にも対応しなければなりません。

先述したように、ローンの返済以外にも生活費や教育費などが必要になりますが、家族の怪我や病気などで緊急の出費が必要になる場合もあります。

不測の事態にも対応できるように、ある程度の金額は手元に置いておくことをおすすめします。

住宅ローンの頭金に関するよくある質問

最後に住宅ローンの頭金に関するよくある質問について紹介します。

頭金は多いほうがいいのか

頭金が多いほど住宅ローンの借り入れ金額を下げることは可能です。しかし頭金の金額が大きいほど良いというわけでもありません。

頭金を支払ってから家具を購入したり、引っ越しをしたりした場合に、貯蓄がほぼないという状態になると、生活費などの費用を捻出できなくなります。

理想としては現在の生活費の半年分~2年分の費用は残しておきたいところです。

また、頭金としてお金を用意しなくても、家計に余裕が出た際に繰り上げ返済を行うことで、総支払額を抑えることも可能です。

頭金こだわりすぎず、状況に応じて柔軟に対応することが大切でしょう。

頭金の金額の目安はどれくらいがいいのか

頭金の金額は一般的には物件価格の2割程度が理想といわれています。

仮に物件価格の20%の頭金が準備できていれば、ローンの返済期間を2割以上短くしても月々の返済額が変わらなくなります。

繰り上げ返済なのもうまく利用すればそうというよりも早い期間で完成できるでしょう。

また、最近では物件価格の10%程度の頭金を用意するケースもあるようです。

例えば、住宅金融支援機構が提供するフラット35では、物件価格の10%以上の頭金を用意した場合に低い金利が適用されます。

これらはあくまでも目安ですので家庭の事情や物件価格、返済期間などから、総合的に判断するようにしましょう。

まとめ

今回は住宅ローンの頭金について紹介しました。

住宅ローンを組む場合は頭金を入れることで借入金額を抑えることができます。それにより、月々の返済金額や支払利息の金額、保証料などを下げられるメリットがあります。

一方で、手元のお金が減りやすかったり、住宅ローン控除の恩恵が限定的になったりするなどのデメリットもあります。

住宅を購入しようと考えているなら、本記事を参考に頭金について考えてみてください。

投稿者プロフィール

武田 純吾
武田 純吾経営コンサルティング事業部部長・ブランディングマネージャー
「お前は、建築業には絶対に進むな...」建設業の厳しさを知り尽くした父から贈られた言葉。けれど、苦労している父親の背中や、「きつい・汚い・危険」と言われる過酷な職場環境で歯を食いしばり懸命に働く家族や職人さんたちの姿が忘れられず「この業界を変えたい」と志し、コンサルティング業界の道に進み10年。豊富な実績を誇り全国の地域No.1工務店からの熱狂的なファンが多く、これまで建築業界にはなかった発想や唯一無二のアイデアで差別化を図り「ゼロからイチをつくる」ブランディングのプロ。2030年には新築着工棟数が半減する未来を見据えるなかで、業界全体の活性化のためにブランディングや生産性向上のノウハウを分かち合う「競争ではなく、共創」の考えを創造し、新たな建築業界の世界観をつくる”先駆者”。

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