春や秋に「この過ごしやすい季節が一生続けばいいのに...」などと浅短な考えをしてしまいますが、室内環境だけであれば実現できる世の中になりました。しかしこういった技術や知識はわりと最近のもので、「他の家もやっているからウチも真似してみよう!」と思ってやると、痛い目を見ることもあります。
昔の日本家屋は隙間風上等で、当たり前のように夏は暑く冬は寒いです。しかし実は、人間にとって耐えがたいこの環境も“家”にとっては最適だったのです。
隙間が多く風が通り抜けるということは、家の骨格である木材を常に乾燥させてくれるので、腐りにくい環境を保ってくれます。なので100年でも200年でも、法隆寺に至っては飛鳥時代から建ち続けています。
“家”の立場から見ると高気密高断熱という考えは、湿気は逃げない、結露する、カビも腐朽菌もシロアリも繁殖する、と快適とは真逆の環境だと言えます。
高気密高断熱の家を実現させるためには“家”にとっての快適もしっかりと考えて、防水・防湿・通気・換気・透湿・防腐・防蟻といったあらゆる対策を漏らすことなく講じる必要があります。特に湿度の高い北陸地域での家づくりでは大切です。
「壁厚30センチの次世代型の床下エアコンのある家」では、お施主様と二人三脚で断熱について考え、対策し、実現しました。そのため、メンテナンスのしやすさなども含めて生活をシミュレーションでき、暮らしの快適さをブレることなく追求できたと思います。